やさしさと甘さのちがい

ふと、やさしさについて考えました。その中で浮かんだのが「甘さ」。

やさしさには、思いやりからときには厳しさも含まれますが、甘さは一見快適さを与えても、伝える側・伝えられる側のどちらの成長にも繋がらないのではないかと。

砂糖のように、たまに欲するのは良いと思うのですが、砂糖は依存性が強いように、精神的な甘さも依存性が強いように思います。

 

やさしさとは


やさしさとは、相手を尊重し、その人の長期的な成長や幸せを願う心から生まれるものです。時には厳しいことを伝えることもあります。境界線を守りつつ、本当に相手のためになる言葉や態度を選ぶのです。

たとえば、子どもが宿題を嫌がったときに「大変だよね。でも一緒にやってみよう」と寄り添いながら取り組ませること。あるいは部下が失敗したときに責めるのではなく「ここから学べることは何か」を示し、改善の方向を伝えること。

やさしさとは、相手のためを思って、時に痛みを伴う真実を伝える力でもあります。

 

甘さとは


一方で、甘さは相手に嫌われたくない、自分が楽をしたいという気持ちから生じる妥協です。必要な注意や境界線を避けてしまい、相手を守るように見えて実はその人の成長を奪ってしまうのです。

たとえば、子どもが宿題を嫌がったときに「やらなくていいよ(この言葉が必要な時もあり)」と言ってしまうこと。部下の失敗を見て見ぬふりをして、あえて指摘せずにそのまま流してしまうこと。短期的には衝突を避けられて楽かもしれませんが、結果として相手の依存や未熟さを助長してしまいます。

 

つまり、やさしさは相手の未来を見据えた愛から生まれ、甘さは自分の安心や怠惰から生まれるという違いがあります。表面的には似ていても、やさしさは相手を自立へと導き、甘さは相手を弱くしてしまうのです。

本当に砂糖みたいですね。。

 

ヨーガ的には
やさしさは、サットヴァ(純粋性)に基づく。相手を尊重しつつ、真理に沿った行動。
甘さは、ラジャスやタマス(執着・怠惰)に基づく。恐れや無関心から生じる。

バガヴァッド・ギーターには「好ましく聞こえる言葉ではなく、真に益となる言葉を語れ」という教えがあります。これは「やさしさは時に厳しさを含む」ということでもあります。

やさしさは、相手の成長と幸せを願う愛で、甘さは、相手の成長を妨げる妥協。自分の安心や怠惰が根底にある。といった違いがあるのかもしれません。本当のやさしさは、相手の自由と尊厳を守りつつ、成長を助けること。甘さは、表面的には似ていても「相手の未来」ではなく「自分の都合」を優先している点に違いがあります。

 

やさしさを求める心と、甘さを求める心


求める側の「やさしさを求める心」と「甘さを求める心」の違いもあります。

人は誰しも「理解されたい」「尊重されたい」という根源的な欲求を持っています。だからこそ、人との関わりの中で「やさしさ」を求めるのはごく自然なことです。

やさしさを求めている人は、自分の痛みや弱さを受けとめてもらいたいと願います。でも同時に、成長のためには本当のことも伝えてほしいと思っています。つまり、安心できる場や信頼できる相手を必要としているのです。そういう人は「自分を大切にしながらも、変わりたい」という気持ちを持っています。

一方で、甘さを求める人は、現実を直視したくない、不安や責任を避けたいという欲求から生まれます。本当は必要な指摘や課題があるのに、それをスルーしてほしい。「そのままでいいよ」「何もしなくても大丈夫」と言ってもらいたいのです。変化や痛みを恐れ、無条件の肯定に依存したいという心理です。甘さを求める人は「安心感」は欲しいけれど「成長」までは望んでいない、といえるでしょう。

そうは言っても、たまには砂糖が欲しい!笑 現代は甘さを求めたくなる人も多いと思います。なぜ現代では甘さを求める人が多く見えるのでしょうか。背景には社会のストレスの多さがあります。心が疲れていると「成長に向き合う力」よりも「とにかく安心したい」という欲求のほうが強くなるのです。さらにSNSや広告は「あなたのままでいい」「努力しなくても大丈夫」といったメッセージを次々と与えてきます。甘さは一時的に心地よく感じられるため、人はそこに引き寄せられやすくなるのです。

やさしさはサットヴァ(純粋性)に基づき、真実と愛が調和しています。それに対して、甘さはタマス(怠惰)やラジャス(恐れや執着)に基づいています。甘さは心を一時的に慰めるけれど、長期的には成長を妨げてしまうのです。

本当の癒しや安心は「甘さ」ではなく「やさしさ」の中にあります。やさしさがあるとき、人は守られながらも前に進む力を取り戻していけるのです。

たまには休んで、甘いものも楽しむ!でも依存すると、血糖値のように上がったり、下がったりして、動けなくなったり、不安定になってしまい、いつかは身を滅ぼしてしまう恐れがあるので、甘いものを摂っても依存せず前に進んでいきましょう。