ヨーガとフィットネスの違い

現代では、ヨーガはしばしば「ストレッチやフィットネスの一種」として捉えられがちですが、本来のヨーガは、単なるエクササイズではなく、心と魂を統合し、解放へと導く包括的な道 です。

古代インドの聖典では、ヨーガとは、身体だけでなく、心・感覚・知性・魂のバランスをとり、究極の真理であるブラフマンと合一するための手段とされています。

 

ヨーガの本質とは?

ヨーガの語源は、「ユジュ(Yuj)」(サンスクリット語で「結ぶ」「統合する」)です。これは、個人の本質(ジーヴァートマン)と宇宙の本質(パラマートマン)を結びつけることを意味します。

つまり、ヨーガの目的は、単なる肉体的な健康ではなく、「自己の本質を知り、真の平安と悟りを得ること」 にあります。

さまざまな聖典では、苦しみの仕組みや、苦しみから抜け出す方法としてのヨーガについて記述されています。

 

ヨーガはエクササイズを超えた「生き方」

ヨーガは、アーサナ(ポーズ)だけでなく、人生全体を調和させるための知識と実践 です。ヨーガ・スートラやヴェーダの教えでは、ヨーガは8つの段階からなる道(アシュターンガ・ヨーガ)とされています。

 

ヨーガの8つの段階(アシュターンガ・ヨーガ)

1. ヤマ – 禁戒

他者との関わり方を整えるための5つの道徳的規律↓

アヒムサー(非暴力) – すべての生命に害を与えない

サッテャ(正直) – 嘘をつかず、誠実に生きる

アステーヤ(不盗) – 他人のものを奪わない

ブラフマチャリヤ(純潔) – 欲望をコントロールする

アパリグラハ(不貪) – 必要以上に物を所有しない

 

2. ニヤマ – 勧戒

個人の成長を促す5つの実践↓

シャウチャ(清浄) – 身体と心を清潔に保つ

サントーシャ(知足) – あるがままに満足する

タパス(自己鍛錬) – 精神と肉体を鍛える

スヴァーデャーヤ(聖典の学習) – ヴェーダや哲学を学ぶ

イーシュワラ・プラニダーナ(神への献身) – すべてを神に委ねる


3. アーサナ – 身体の安定

アーサナの本質は「快適で安定した姿勢」であり、瞑想のための坐法である。

 

4. プラーナーヤーマ – 呼吸の制御

・呼吸(プラーナ)をコントロールし、生命エネルギーを高める技法。

・身体と心を調和させる重要な実践。

 

5. プラッテャーハーラ – 感覚の制御

・外部の刺激から心を引き下げ、自身の内側に集中する。

 

6. ダーラナー – 集中

・一点に意識を集中させる瞑想。

 

7. デャーナ – 瞑想

・瞑想の対象物に思考が溶け込んでいる状態。

 

8. サマーディ – 悟り

・あらゆる束縛から解放され、自己の本質・宇宙の本質と一体化する状態。

アーサナ(ポーズ)は、この8段階のうちの「第3段階」にすぎず、柔軟性や筋力の向上、ダイエットが目的ではなく、ましてや高度なアーサナが目的ではなく、ヨーガの全体像ははるかに深いものなのです!この8段階ですらヨーガの全体像の簡単なまとめにすぎません。

 

ヨーガの本当の目的とは?

現代のフィットネスヨガとは異なり、本来のヨーガの目的は 「心と魂の統合」 です。

本来のヨーガは「瞑想と自己探求を通じて真理を悟ること」 に重点が置かれていました。

 

1、身体の健康ではなく「心の解放」

多くの人がヨーガを「健康やストレス解消やダイエットのための手段」として実践していますが、本来のヨーガは、心の迷いや苦しみや執着から自由になり、自己の本質を発見することを目的としている。

・ヨーガは、肉体を鍛えるだけでなく、心を整え、感情を安定させ、思考をクリアにすること を目指す。

 

2、自己を超えた神聖なつながり

・ヨーガは、単なる個人の心身の成長ではなく、宇宙との調和を築くための道 でもある。

・そのため、「バクティ・ヨーガ」(神への献身)「ジニャーナ・ヨーガ」(知識の探求)カルマ・ヨーガ(行為のヨーガ)もヨーガの主要な道である。

 

3、最終的な目標は解脱(モークシャ)

・ヨーガの究極の目的は、自我を超えて、真の自由・解放を得ること

・身体を整えるのは手段であり、目的ではない!

・身体の柔軟性や筋力だけでなく、呼吸を整え、感情をコントロールし、最終的には自己の本質に到達すること が本当の目的。

 

では、どう実践すればよいのか?

もし「ヨーガをエクササイズではなく、本来の精神的な道として実践したい」と思うなら、次のようなステップを試してみてください。

1. アーサナ(ポーズ)だけでなく、呼吸と瞑想を取り入れる

プラーナーヤーマ(呼吸法) を行うことで、生命エネルギーを整える。

瞑想(デャーナ) を取り入れ、心の静寂を体験する。


2. 日々の中で「ヤマ・ニヤマ」を実践する

・正直に生きる(サッテャ)

・他者や動植物を傷つけない(アヒムサー)

・欲望をコントロールする(ブラフマチャリヤ)

・心も身の回りも清潔に保つ(シャウチャ)


3. ヨーガの知識を学ぶ

『ヨーガ・スートラ』や『バガヴァッド・ギーター』を学ぶ。

・ヨーガの思想を深く理解し、実践に生かす。

 

4. ヨーガを「生き方」として取り入れる

・ヨーガはマットの上だけではなく、日常生活の中にある。

・思いやりを持ち、感謝し、心を整えることもヨーガの実践。

 

ヨーガは単なるエクササイズではなく、「自己(アートマン)の真実を知り、究極の自由(モークシャ)に至るための包括的な道」 です。

 

講座情報

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